課題28:プライバシー権とパブリシティ権
同一事実を扱った新聞各社社説の読み比べ
<<高校生の課題>>
このページでは『プライバシー権とパブリシティ権に関して』と題して、『田中真紀子長女・週刊文春記事差し止めとその取り消し』に関する問題を取り扱うことにしました(平成16年度(2004年度))。
『同一事実に対する新聞各社の社説』の読み比べをした結果の集計についてご紹介致します。
夏休みの宿題のうち、以下の質問9に関して、文大杉並高校1年生が考えたことを集計した結果をご覧下さい。
9.
あなたは、この出版差し止め(東京地裁が出した『出版差し止め』のことをいい、後に東京高裁が決定の取り消しを決めたもの。つまり、プライバシーの侵害であるから出版を差し止めるという考え方)に賛成ですか、反対ですか(理由も書きなさい)。
以下の表とグラフは、『田中真紀子長女・文春記事差し止め決定(地裁が決定をして、後に高裁で決定が取り消されたもの)に関して、賛成か・反対か』という質問と『その理由を書きなさい』という質問に対する集計と
、その結果をまとめたグラフです。
結論 |
人数 |
パーセント |
賛成 |
146 |
77% |
賛否未定 |
2 |
1% |
反対 |
41 |
22% |
このレポートをまとめている私は『法律の専門家』ではなく、理科と情報科の教員免許状を持った『教員』です。
従って、法理論に通じている者ではありません。
私自身は『表現の自由』を守ることの意義は十分に理解しつつも、今回の件では、『基本的人権』を守ること・私人のプライバシーを守ることの方が先なのではないかと考えてい
ます。
今回の『夏休みの宿題(田中真紀子長女・週刊文春記事問題に関する新聞各社の社説の読み比べ)』を出すときに、特に私の意見は伝えませんでした。
この問題に詳しい識者の間でも意見は正反対のものに二分されますから、どちらが正解という問題でもありませんが、おおかたの生徒達が考えた『差し止めに賛成』という意見の方が、
「温かみがあってよいのではないか」と私は思いました。
また、厳しい訓練と実績を積んできた裁判官の間でも法解釈に違いを見せていて、裁判官の地位や立場・それぞれの判断を下すまでの段階(地裁と高裁)の問題は考えないことにしても、最終的には
担当する『1人ひとりの裁判官(の人たち)の考え方』で結果が決まっていくようです。
法理論で徹底的に押すか、情況や情状をどの程度入れるかなどは裁判官一人ひとりの考え方で変わってくると思われるので、このような意味からすると、「最近話題になっている『裁判員制度』
を考える上で参考になる」とも思いました。
また、各社の社説のタイトルだけ読み比べてみても、主張の違いがハッキリしてきます。
朝日新聞の『取り消しは当然だ』という主張から、読売新聞の『「プライバシーの侵害」は動かない』という主張を両極端として毎日新聞・産経新聞・日本経済新聞の『妥当な司法判断にホッとした』・『「出版の自由」保護は妥当』・『差し止めに慎重さ示した決定』まで、いろいろありました。
この3紙の社説を中間的な考えであると、私は読みましたが、生徒によっては受け取り方が微妙に違うことも分かりました。
毎日新聞の社説のタイトルに『妥当な司法判断にホッとした』というものがありましたが、私は『生徒達の心の温かさにホッとした』と表現し、まとめにしたいと思います
(情報科 津久井 大)。
<<関連情報へのリンク>>
TBSの『バトルトーク』というページへのリンクです。
このページの作成・公開にあたり、『表現の自由』と『基本的人権』に対して、どちらも重要であるが、『基本的人権に重きを置く』考え方が稚拙なものなのかを判断すべく、
色々な方のWebページを調べてみました。
この一連の過程の中で、Web上の情報の中から『同様の質問に対する意見公開ページ』を見つけましたのでリンクを張らせて頂きました(
リンクに対するTBSの考え方はこちらのページに書いてあるとおりなので、連絡せずにリンクを張らせて頂きました)。
http://www.tbs.co.jp/ac/bt/2004/20040329c.html
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